長月をむかえて

令和6年秋彼岸

 九月は和風月名で「長月」と呼ばれ、“夜長月(よながづき)”が略されたと言われてきました。日の入りが早くなり、暑さが和らぎ、自然が徐々に静まり、収穫の時期へと向かっていく季節の変わり目は、私たちに無常を感じさせ、生と死について考える時間を与えてくれます。

 

 彼岸という言葉は、サンスクリット語の「パーラミター」に由来しています。煩悩や苦しみのある「此岸」を越え、悟りの境地に至るという意味です。お彼岸は、春分と秋分の日に行われる仏教行事で、命の尊さを感じご先祖さまを供養し、日々の行いを反省しながら自らの生き方を見つめ直していく時間であります。

 

昼と夜の長さが同じになるこの時期は、仏教の基本的な教えの一つである中道の象徴で、極端に偏った考え方や行動を避け、バランスを取ることによって、心の平穏を保っていけると考えます。

 

 秋の静かな夜、お念仏を唱えることで心に平和と安らぎをもたらし、阿弥陀仏さまの無限の慈悲を信じ、感謝の気持ちを持って日々を過ごしましょう。皆さまがこの長月を健やかに過ごし、穏やかな日々を送られることをお祈りいたします。

 

南無阿弥陀仏