節分と涅槃会

令和3年立春

 

 梅の花が咲き始めました。春の訪れを感じますが、新型コロナウイルスは未だ猛威を振るっており、予断を許さない状況が続いています。皆さまも目に見えないこのウイルスに苛まれ、不安に怯える日々をお過ごしのことと存じます。

 

 今年は、立春が124年ぶりにいつもより一日早い2月3日に迎えるため、節分追難式も2日に行われますが、今年は例年と異なり心の中で「福は内 鬼は外」と叫んでいただくようになります。

 

 立春から始まる今年の干支は丑であることはご存じのことと思いますが、実は仏教の開祖お釈迦様の幼名「ゴーダマシッダルーダ」は最も神聖なる牛(ゴータマ)と目的を成就した人(シッダルーダ)を意味します。つまりお釈迦様とは牛のように雄々しく落ち着き目的に向かう人を表わしています。

 

 今月15日はお釈迦様の遺徳を偲ぶ涅槃会です。

 お悟りを開いてから45年に渡り教えを説く旅を続けられ、多くの人々が導かれお弟子や信者となっていきました。いよいよ自分の死が近いことを察したお釈迦様は、弟子たちに「私の亡きあとは、私ではなく自分自身をより所として、また私が伝えた教えを、闇を照らすともしびとして、歩んでゆきなさい」と説かれました。

 個人崇拝の対象となることを否定され、弟子一人ひとりが確かに、自立して進むことを求めたのでした。そして「もろもろの存在は変わりゆく。怠らず精進しなさい。」という言葉を遺しました。

 

 触れ合うことが出来にくい世情ではありますが、信じる心をしっかり心に刻み、お念仏の慈しみを感じ、暖かい日を待ちわびながら一日一日を過ごしていきたいものです。