中国の思想家、荘子の秋水篇に登場する「井の中の蛙、大海を知らず」の諺(ことわざ)は、いまさら説明する必要もないくらい現代の日本でも使われている有名なものですが、後の人が付けたものと考えられるこれに続く言葉に、「井の中の蛙、大海を知らず されど天の蒼さ(高さ)を知れリ」とするものがあります。もちろん、オリジナルの諺に人生の教訓を感じるわけですが、付け足された後の文章にも考えさせられます。例えるなら『信念』として受け取ってもよいのではないでしょうか。

 職場にあって「この仕事については、他に引けを取らない」という自信と力量のある人は、その職場(井戸)にとって宝に値する存在であります。誇らしい信ではなく、深い反省と責任とが内に潜んでいることはもちろんであります。現在、求められているのは、この信念からくる責任の気持ちではないでしょうか。大きな社会になればなるほど責任感も薄められ、一人ぐらいは手を抜いてもわからないだろう、という様な浅はかな考えが蔓延(まんえん)し易いものです。また、新しい風を送るということも、その時代に沿っていて大変素晴らしいことですが、伝統の灯というものも味があり、また素晴らしいことであることを忘れてはなりません。

  情報社会の現代を生きていく上で、グローバルな視点というのは必要不可欠となりましたが、あまりにも早い時代の流れに惑わされず、立ち止まってもう一度自分の位置を確認してみてはいかがでしょう。どこまでも青く高い空が見えてくるやも知れません。
合掌

(谷口 明信)




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